生産準備の帳票:要件書(初級編 第27回)

03 初級編

どーも、げーちゃんです。

本日のテーマは「要件書」についてお話します。

第6~22回は、企画書の中身を丁寧に説明してきました。

第23回以降は、企画書を元に生産準備する4Mについて詳しく説明したいと思います。

今回は、生産準備で必要な4Mの帳票「要件書」について、纏めました。

この記事で学べる事

・標準と要件書の違い
・要件書の考え方

前回の復習

生産準備と帳票(初級編 24回)にて、ご説明した要件書に関して、紹介します。

また前回の要件書の部分の説明の引用です。

要件書は、各部署で欠くことのできない要素を纏めた帳票です。

図面に直接乗らないノウハウが結集した資料とでも言うべきでしょうか。

各製品群で作られる場合が殆どかと思います。

関係の深い標準書との違いも引用します。

標準は、守るべき基準や条件を文書化した帳票です。

要件書と相違点は、製品群や部品を横断的に守るべき基準や条件を文書化した点です。

つまり、要件書よりも共通性が高い対象に対して、標準化される嫌いがあります。

部門別の要件書

今回取り扱う要件書は、青ハッチのところです。

部署標準要件書手順書ポイント集チェックリスト
設計設計標準設計要件書設計手順書設計ポイント集設計チェックリスト
生技生技標準生技要件書生技手順書生技ポイント集生準チェックリスト
品保品質標準品質要件書品質手順書品質ポイント集品質チェックリスト
製造製造標準製造要件書製造手順書製造ポイント集製造チェックリスト

略記:生産技術→生技、品質保証→品保

標準と要件書の違い

「標準」も「要件書」も、それぞれで部門の技術的なノウハウや制約がかかれるわけですが、本質的に何が違うのでしょうか。

もう少し深堀したいと思います。標準と要件書を下表のように比較しました。

本質的に、製造業での憲法的な存在です。そして標準の目的は、業務の品質の安定化です。

共通性や汎用性の高いルールが定められていて、指定された技術的な条件、基準等は、確実に守る必要があります。

NGの場合のルールは(やってはいけないことのルール)は、かなり厳格です。

過去の重大な不具合等から設定されているものが多く、標準外の業務を行うことで、大きなリスクを背負うことになります。

一方、要件書の本質は、柔軟なローカルルールです。そして要件書の目的は、業務の品質や効率の安定化です(基本、品質>効率)。

専門性の高いルールが定められていて、指定された技術的な条件、基準等は、確実に守る必要がありますが、対応できない場合は、部門間で協議して対応方法を決めます。

要件書に他部署の要望などを入れることで、部門間の調整を少なくすることができるメリットもあります(要件書の基準から外れるところだけを調整すればいいため)。

要件書とは、過去トラ(過去のトラブルをまとめた事例の資料)やノウハウ集(過去のうまくいった事例の資料)の延長線上の少し柔らかい資料といえます。

分類標準要件書
特徴共通性が高い、憲法的なルール
(特にNGの場合のルールが厳格)
柔軟で専門性が高いローカルルール
(過去トラ/ノウハウ集の延長線)
重要度高(品質重視)高~中(品質+効率のバランス)
範囲・共通性の高い知識(製品で横断的)・専門性の高い知識(製品で特有)
強制力・確実に遵守する
・対応不可の場合、標準の改変必要
・基本に遵守する
・対応不可の場合、各部門と協議
扱い・文章管理システムで登録
(ISOの監査:△)
・各部門/プロジェクトで管理
(ISOの監査:×)

部門別の要件書の役割

ここでは、部門別の要件書の役割を記載します。

設計要件書とは

設計要件書とは、製造図面を作成する上での設計仕様の基準をドキュメント化し、品質の安定化と効率化を図るためのルールやガイドラインです。

ここでの品質と効率化は、設計品質、製品品質、設計効率、設計以降の効率(工程設計、生産準備、製造)があります。

主に製品仕様の位置づけで、図面精度を高めるために使われます。

イメージとしては、下記のような例です。

例1)この金属の加工場合は、公差レンジを、○○適用する
例2)可動部の隙は、R加工必須
例3)嵌め合いのところは、C=0.1で、又は、R=0.2で設定する

品質要件書とは

品質要件書とは、品質の安定化を図るためのルールやガイドラインです。

ここでの品質は、製品品質です。

設計仕様(寸法、公差)等で、表現しきれない品質上の基準(注意点)を纏めます。

例1)部品Aと部品Bは、隣同士に置くと腐食するのでNGとか。
例2)公差上は±10でOKだが、もし公差から出ると発火するので、±5で管理必須等

ある意味では、設計でカバーしきれない品質上の要件を纏めているとも言えます。

品質標準では、汎用性の高いルールを扱い、品質要件書では、汎用性が低いが重要なルールを扱います(発生対策、流出対策の両方の視点です)。

生技要件書とは

生技要件書とは、工程設計や生産準備の設備仕様、治工具仕様の基準をドキュメント化し、品質の安定化と効率化を図るためのルールやガイドラインです。

ここでの品質と効率化は、製品品質、工程設計、生産準備、製造、保守の効率があります。

主に、4Mの方法と設備の位置づけです。

生技要件書の品質に関わる要件のベースは、設計要件と品質要件書です。

設計要件、品質要件を満たすために、方法&設備を生技要件として纏めます。

例1)製品Aの外観カメラ検出精度(±0.5mmの分解能)
例2)治具のポカヨケ要否(工場内での類似部品A~Eのポカヨケ必須)
例3)変形防止のため、部品Zの保護要(部品Zの保護材選定)

一方、効率安全の生産技術の要件もあります。例えば、下記のようなものがあります。

例1)コンベア工程は、連続して〇工程まで(ダウンタイム懸念)
例2)コンベアスピードは、○○m/秒以上はNG(コンベア酔い防止)
例3)コンベア工程の作業スペースは、〇m未満はNG(干渉防止)

共通性自体は標準で記載してもいい内容ですが、割と柔軟性も必要なところでもあるので要件として扱っているという感じです。

コンベア酔いとは、コンベア作業により、車の運転用のような感覚になることがあります。体調や個人差(三半規管の強さ)により、許容するコンベアスピードは、異なりますが、早ければ早いほどコンベア酔いになりやすいです。

製造要件書とは

製造要件書とは、製造プロセスの管理手法を統一し、品質の安定化と効率化を図るためのルールやガイドラインです。

ここでの品質と効率化は、製品品質、製造、保守の効率があります。

製造要件の品質のベースは、品質標準/要件、生技標準/要件です。

工法、作業、設備、治具・治工具製品の製造現場の扱い方に関して、標準よりもより具体化されています。

例えば、下記のようなものがあります。

【作業面】
例1)製品Aの作業を行うときは、作業が細かいのでやわらかい手袋使う
例2)製品A群の生技要件10~20秒のレーザー照射は、品番Cだとバラつくので15~20秒狙いで生産(品番C以外の製品A群は生技要件でOK)

※因みに、例2)みたいな製造要件は、時間差で生技要件に組み込まれます

【管理面】
例1)製品Aと製品Bは、5m以上隔離する(銅部品とアルミ部品でため腐食するため)
例2)作業台は、〇〇cmの高さに設定する(身長差がある場合、作業台を専用角材で底上)
例3)製品の一時置きスペースの掲示は、製品箱5段×3セット以下にすること
  (エリアを青テープでマーキング)
例4)校正期限が1か月未満の測定機器は隔離し、予備品と入れ替え

共通性自体は標準で記載してもいい内容ですが、割と柔軟性も必要なところでもあるので要件として扱っているという感じです。

まとめ

今回は初級編の第27回で生産準備の帳票(要件書)に関して説明しました。

標準とのすみわけが難しいところですが、柔軟に変えれる基準として要件書は活用していきましょう。

今後も生産技術関連の知識を発信していきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

げーちゃんでした。

  • 標準と要件書の違いは、柔軟性
  • 設計要件書とは、製造図面の精度向上のための、基準のまとめ
  • 品質要件書とは、設計仕様で表現しきれない品質上の基準のまとめ
  • 生技要件書とは、品質&効率化の目線での、設備+工法の基準のまとめ
  • 製造要件書とは、製造標準をより具体化した基準のまとめ

ガイド記事はこちら

生産準備の帳票解説(初級編ガイド3)

最新記事はこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました