QCDの優先度(初級編 第8回)

03 初級編

どーも、げーちゃんです。

本日のテーマは「QCDの優先度」です。

前回のQCDとは(初級編 第7回)にて製造業の評価指標としてQCDをご説明しました。

今回は、それぞれの評価指標と優先度に関して説明したいと思います。

この記事で学べる事

・QCDの建前と実態の優先度
・QCDの各評価指標の位置づけと役割
・流出原因と発生原因の特性
・いい塩梅の品質が求められる理由

QCDの建前と実態

どれも大事な評価指標としてのQCD。敢えて優先順位をつけるとすると、どのような順番になるでしょうか。

建前は、Q(品質)→C(コスト)→D(納期)
であると、並び順で教えられることも多いのではないでしょうか。こんなことを書くと怒られそうですが、実態は少し違います。

実態はQ(重大問題)&D(納期問題)→C(コスト)→Q&D(その他)
といった感じでしょうか。それらの理由に関しても、説明します。

Deliveryとは

Delivery(納期)は、できて当り前の物流の根幹となる指標です。 

製造業にとって納期を守るというのは鉄の掟。納期遅れは大事件です。

客先に納入できなければ、一気に信頼を失墜するでしょう。例えば、サプライヤー(B to B)で納入先の企業が製造業の場合、客先の生産ラインを部品供給できずストップする場合もあります。恐過ぎですよね?

一方、納期(供給の安定性)の重要度と比べると、同じDの評価指標でもリードタイムは優先度が低いです。

少し話がそれますが、トヨタ生産方式の一翼であるJIT(Just in time)の本質はリードタイム改善なのですが、生産技術の目線からすると常軌を逸して凄いです(この体系を思いつき、また会社として実行できた功績)。

生みの親の大野耐一さんを初め、トヨタ自動車のエンジニア強っ!って感じです。

普通の会社だと、納期優先で余裕を持つために作りだめしてマージンとり、リードタイムを犠牲にします。

この点も近いうちに纏めたいと思います。

Costとは

Cost(コスト)は、企業活動の本質で利益の評価指標です。 

C(コスト)の指標は、最も個人評価に影響しやすい評価指標と言えます。

企業の存在意義って何か?というところなのですが、利益を生むことです。当然、赤字だと企業が存続できません。

生産技術者もそうですが、基本的に直接的、間接的、問わず全従業員に利益を出すための何らかの役割を果たすことを求められます。

最もコスト指標は、日頃フォローアップされるのでは、ないでしょうか?

Qualityとは

Quality(品質)は、問題が起これば犯人捜しで、報われにくい最も泥臭い評価指標です。

まず重大客先クレームや重要品質不具合は納期遅延に匹敵するくらいの重要度高い事象です(市場に流出してしまった不良)。

リコールの可能性もあり、流出不具合(特に機能、安全に影響する不具合)は、最も優先度が高い事象と言えます。 

これだけ聞くと品質って一番じゃんって思いますが、過剰品質という言葉もあるくらいで、実態は、最高品質ではなく、いい塩梅の品質が求められる評価指標です。

これが品質を語る上で悲劇というか、摩擦を生む最も難しい考えとも言います。

なぜ、そんなことが発生するのかを深堀したいと思います。

発生原因と流出原因

この「いい塩梅の品質問題」を語る上で、不良品の発生原因、流出原因の2つが非常に重要です。

発生原因は、不良発生工程で「なぜ不良発生したか」の不良発生のメカニズムを分析し、原因特定を図ります。

原因特定し、不良率が下がると品質の向上は勿論、不良が発生しなくなることで、コスト面の優位性もでることも多いです。

流出原因は、不良発生工程で「なぜ不具合に気づかずに次工程に進んでしまったか」の不良流出メカニズムを分析して、原因特定を図ります。

トヨタ生産方式でいうところの自工程完結、自働化も流出不良の対策の考え方です。原因特定して対策すれば、不良検出率が上がるのですが、このプロセスが非常に揉めて迷走します。

いい塩梅の品質が求められる理由

理由1.品質指標とコスト指標が競合する(トレードオフの関係)

技術的に過剰スペックともいえる高価な設備を導入すれば、不具合検出自体を抑えられることは多いです。一方、対策費用がかかり過ぎると、利益を圧迫し、商売になりません

理由2.どれだけお金を投じても100%の検出率ならない

そして沼なのが、どれだけ対策を打っても検出率100%にならない場合が多いのです。例えば、現実の検査設備は、検出率は99.5%で、0.5%で流出不具合が発生します。この0.5%を検出するために、検査員等でもチェックいれるのですが、流出してしまうこともあります。この検出率を0.1%上げるのに500万かかるとかそんな判断が求められます。

理由3.重大不具合は、盲点から発生する場合が多い

前提として生産技術や品質保証部門も対策に対策を重ねた状態で生産ラインを立ち上げるので、幾重にも品質管理の網(流出対策)をかけます。冒頭でお話したようなリコールに繋がるような重大品質クレームや重要品質不具合は、特に念入りに対策します。そのうえで奇跡的に全ての流出対策の網を潜ってくるのが重要品質不具合という不良です。通常の対策では考えられないような人の考えの盲点から発生するのです。

理由4.そもそもベースラインが過剰スペック気味

品質不具合を発生させた経験のある先輩や上司は、一度不具合を発生させればどれくらい大変なことになるか骨の髄まで知っています。そもそも論、かなり品質に拘って業務します。

業態によりますが、客先不良はPPMという100万個に何件不良が流出したかというような指標(単位)で管理するくらい。

私が新人の頃、上司によく「月々の生産量は1万以上あるんだから、万に一つは毎月起こる」って言われました。

多忙極める生産準備の中、対策にかけられる費用も制限させる中、対策しないといけないのが辛いところです(もちろん、知恵も工夫も勿論大事ですが・・・)。

いい塩梅の品質とは

いい塩梅の品質とは、「重大品質不具合を確実にケアしつつ、事業破綻しないように利益を確保し、周りが納得できるような現実味のある品質管理レベルに到達する」という意味です。

品質は、事が起これば最も優先度が高く、事が起こらなければ優先度が低いので、

Q(重大問題)&D(納期問題)→C(コスト)→Q&D(その他)

とこんな感じになります。お金や時間のかけ方が非常に難しいところです。

リソースが制限される中、いい塩梅の品質を求められることは、品質保証、製造、生産技術等、全ての製造にかかわる部門での悩みで、非常に難しいなぁと。

この辺が、生産技術含め、製造業に関わる技術者の苦しみの一端なのではないかと思います。

QCDの悲しき優先度の宿命って感じですかね。

まとめ

今回は初級編の第8回で「QCDの優先度」に関して、説明しました。

入念に品質の評価指標についての難しさ、理不尽さも踏まえて泥臭さを説明しました。

今後も生産技術関連の知識を発信していきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

げーちゃんでした。

  • QCDの理想の優先度は、Q(品質)→C(コスト)→D(納期)
  • QCDの実態の優先度は、
    Q(重大問題)&D(納期問題)→C(コスト)→Q&D(その他)
  • Dの納期を守るは、製造業にとって鉄の掟
  • Cのコストは、個人評価に影響しやすい評価指標
  • Qの品質は、様々な板挟みでいい塩梅の品質を目指す

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